有限会社 三希工房 田野 恵が始めた子ども食堂「縁(えにし)」|心の貧困を埋める“もう一つの家族” 【第二部】

「子ども食堂」と聞くと、食事支援の場を思い浮かべる人も多いかもしれません。
けれど、今回お話を伺った田野さんが始めた子ども食堂「縁(えにし)」は、少し違います。


そこにあるのは、“ごはん”だけじゃない。
誰にも言えない気持ちをこぼせる場所であり、血のつながりを超えた「家族」のような関係が生まれる場所でした。

少し胸が締めつけられる話もあります。
でも不思議と読後にはあたたかさが心に残る、そんな田野さんの人生と、子どもたちとのリアルなエピソードをお届けします。

目次

ネグレクトの経験から生まれた「子ども食堂 縁(えにし)」の原点

編集部

子ども食堂を始めたきっかけを教えてください。

田野さん

私の幼少期は、今の言葉で言うと「ネグレクト」でした。

私は母親の膝に抱っこされたという記憶がない。
真っ裸で風呂から追い出されたこともあるし、スリッパ、ティッシュは飛んでくるのは当たり前。
プランターが飛んできた時は殺されると思いました

家にも入れない、お金はもちろん もらえないので高校のときはバイトしながらなんとか生活してて…。
そんな家庭なので朝ごはんを食べる習慣もなかったんですよ。


そんなある日、バイト先で板前さんが、おにぎりを2つポンって置いて、「食え」って。
生意気盛りだったから「朝からそんなの食えないですよ」って言ったら、「この仕事は3時まで食べられないからって、あんたのために作ってくれたんだよ」って、周りの人に本気で怒られて。

……ああ、見てくれてる人がいるんだなって思いました。


鍵とチェーンをかけられて家に入れない時は、どこかよそへ行くくらいならって友達の親が勝手口を開けてくれていて、「うちに帰ってきなさい」って。


お茶碗や箸を専用に用意してくれて、「あんたはうちの娘だから」って言ってくれて。
後から友達が帰ってきて「なんであんたがいるの?(笑)」なんて事も。
他にも血はつながってないのに、家族みたいに扱ってくれる大人がたくさんいたんです。

そして気づいたんです…今の子どもたちも同じだなって。
お金がないからじゃなくて、「心の貧困」。

家に帰っても真っ暗で、誰もいない…話を聞いてくれる人もいない。
だったら、私が少しでもその穴を埋められたらいいなって思って それが、子ども食堂「縁(えにし)」の原点です。

「ここがあってよかった」──子どもたちがくれた答え

編集部

子どもたちとの印象的な出来事を教えてください。

田野さん

いっぱいありますけど……やっぱり一番は、あの子が自分の子どもを連れてきてくれたことかなぁ。


高校生でお父さんになった男の子がいて、連絡も取れなくなってたんですよ。
「もう関わらないほうがいいかな」って思ってたら、ある日突然 自分の子どもと彼女と一緒に来て
「めぐ(田野代表)に見せたかった」って。


で、そのとき初めて言われたんです。
俺、ここがあってよかった」って。
理由を聞いたら、「俺のお袋の味、コンビニ弁当だったから」って。

……ああ、この子、ちゃんと覚えてたんだなって。
一人でも毎回来てた理由が、そこで全部つながりました。

疑似家族が生まれる場所と、防犯という副産物

田野さん:子ども食堂って、ただご飯を食べる場所じゃなくて、「疑似家族」ができる場所だと思ってるんです。
今、地域のおばあちゃんたちが手伝いに来てくれてるんですけど、子どもたちとの関係がすごくいいんですよ。


食堂の外でも、「おばあちゃーん!」って手を振ったりしてて、それ見たとき、「あ、できてるな」って思いました。
私が欲しかった家族の形が。


しかもこれ、防犯にもつながるんです。
子どもが知らない人と話してたら、おばあちゃんが声かける、それだけで不審者は離れるし、後で「誰と話してたの?」って自然に聞ける。


逆におばあちゃんたちも助けてもらうことがあって、重い荷物を子どもが持ってあげたり。
お互い見守り合ってる感じですね

「逃げ場がある」それだけで救われる子どもがいる

編集部:印象的なエピソード、他にもありますか?


田野さん:ありますよ。ちょっと重い話もいいですか?
あまり顔を出さない女の子が、年末にふらっと来て何か話したそうに手を繋いできたので隣に座って話を聞こうとしたら、甘えるように肩に頭を乗せてきて。


話を聞くと、親の再婚話でした。
お姉ちゃんは受け入れているけど、自分はどうしても受け入れられない、「自分だけ家族じゃない気がする」って、泣き出してしまって。


ああ、この子はずっとこれを抱えてたんだなって思いました。
これまで何度も家出を繰り返していた子だったので、私はこう伝えました。
家出する前に、まず私に連絡しなさい。迎えに行くから。あなたにはここがあるよ」って。


全部を背負えるわけじゃないし、ずっとそばにいられるわけでもない。
でも、「ここに来ればいい」と思える場所があるだけで、人は少し踏みとどまれると思うんです。
実際、その子は児童相談所に行くことも考えていました。
それも一つの選択…自分が安心して過ごせる場所を選べばいい。


だから最後にもう一度、「どっちにしても、一回連絡しておいで」と伝えて見送りました。
“逃げ場がある”——それだけで救われる子どもは、確実にいると思っています。

子どもの“成長”は、ちょっとした一言で変わる

田野さん:すごい生意気な子がいたんですよぉ 小6の女の子で、でもよく見たら、年の離れた妹弟の面倒をずっと見てて。

親は車で子どもを送迎するだけでどっか行っちゃうの。
大人がやる事を見よう見まねでやっていて ヤングケアラーみたいな状態で。
だから「すごいね、偉いね」って思いっきり褒めたんです。


そしたら次から別人みたいに素直になっちゃって子どもって、本当シンプルなんですよ。
「わかってもらえた」って思えたら、変わる。

「ちびちゃん達元気?今度連れてくる?」
「今度連れてくるかも。」
「うん。連れておいで、連れておいで」
「うん、分かった」とか言って、

そこから生意気なことも言わなくなったし、突っかかって来ることも無くなったからね。
子どもってすごいデリケートだし、自分のことを分かってもらいたいし、自分の居場所をいつも探してる。


逆に、わかってもらえないと威嚇する。
そういう場所にできたなっていうのがね 私は嬉しいですけどね。
だから、この場所ってすごく大事だなって思います。

「過去には戻りたくない」でも一つだけ願いがある


編集部:田野さんが欲しかった場所を作っている感覚ですか?


田野さん:そうかもしれないですね。
私、過去に戻りたいって一切思わないんですよ。
でも、もし一つだけできるなら幼少期の自分を抱きしめて「大丈夫だよ」って言ってあげたいなぁって こうしてほしかったんだなって、今ならわかるから。


正直、物心ついたときには親に対しての感情は無くなってました。
家に入れてもらえなかったり、締め出されたりした時には「まいっか」とすんなり受け入れられる位に。


でもね、不思議と今は思うんです。
あの経験があったから、今ここにいるんだなって。

まとめ


子ども食堂「縁(えにし)」は、ただの食事提供の場ではありません。
ネグレクトや心の貧困を抱えた子どもたちが、「ここに来れば大丈夫」と思える場所。


そして、地域の大人たちが関わることで、防犯や見守りにもつながる——そんな“生きたコミュニティ”です。


現在、この活動は企業様や個人の方からの運営資金や食材のご寄付と、ボランティアの方々によって支えられています。
もしこの記事を読んで共感いただけた企業様や個人の方がいらっしゃいましたら、

ぜひ運営資金や食材のご寄付などの形でご協力いただけると嬉しいです。


最後に、田野さんの言葉を。
「私の話を読んで『自分だけじゃないんだ』って、少しでも楽になってくれれば。いくらでも話しますよ」


今回は二部構成の第二部として、「子ども食堂」と「田野さんの幼少期」にフォーカスしてお届けしました。
誰かの“居場所”は、きっと誰かの手で作れる。
そのことを、強く感じさせてくれる時間でした。

会社概要

事業所名子ども食堂 「縁-えにし」
日にち毎週火曜日・木曜日
時間17:00~19:00
住所千葉県千葉市若葉区千城台南1-3-3
料金こども:無料
おとな:お気持ち
事務所名   有限会社 三希工房
代表者田野 恵
所在地〒266-0031 千葉県千葉市緑区おゆみ野5-32-11-105
設立2005年4月11日
事業内容福祉リフォーム・一般リフォーム・福祉総合コンサルタント・福祉用具貸与販売・講師業
許可・資格二級建築士事務所登録/二級建築士/福祉住環境コーディネーター2級
千葉市木造住宅耐震診断士/千葉県応急危険度判定士/ブロック塀診断士
シックハウス診断士補/福祉用具相談員/古民家鑑定士/既存住宅状況調査技術者
従業員数2名
ホームページhttp://www.miki-kb.com
SNSInstagram miki.kb411
営業時間9:00~18:00 休業日:日曜
お問い合わせTEL:043-291-7422 FAX:043-292-3566

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子ども食堂「縁」

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